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とん、としてぱたん

by 郷木 鳥夢

 たとえば朝の端っこが、少し日焼けし始めた春の週末です。うっすら色の濃くなったページの角を揃えて、とん。木製の表紙を、ぱたん。

 出来事は一枚厚くなって、顔の裏側へ、目録が一つ付け足されます。

 とん、としてぱたん。

 雨の日。冷えた上空から共に降ってくる風が、とぎれなく入ってくる窓の前で、鉢植えと並んで椅子に収まったあなたが、先週の栞ひもを指に巻き、それから湖のような紙面へ漕ぎ出すように、目を泳がせていったというので、ほとんどのわたしたちは、書物の一場面へ呼ばれていました。

 書物の中で待って、あなたが言葉の波を泳ぎ、岸に上がるまでそばにいます。最後には、ページの角を揃えて、とん。木製の表紙を、ぱたん。

 とじ紐の結び目は、まだ幾度も解くものだとしても、日々、固く結んでおくに限ります。

 とん、としてぱたん。そういうものです。

 夕焼けて十月。展墓のために畦道をゆくとき、きみたちは特に背伸びして歩き、揺れた草の先が交互に足跡を隠しました。

 もう一度、仮縫いの建造物から、意匠の糸を引いて抜き、はじめから出会い直すことは可能でしょうか。

 いいえ、ここは黄昏時という洪水が、活字をひどくにじませた見開きにあります。波打って色落ちしたインクを上からおさえて、とん。そして木製の表紙を重しに、ぱたんとします。

 出来事は所々不揃いになっても、一枚の一日。ただ、表情の途中へ、付箋が一つ差し込まれます。

 休憩室でネジを巻くと、鳩時計は遅れを取り戻そうとして、走馬灯のように鳴き始めました。時間の巣箱から飛び出て、戸を閉めて、とん、としてぱたん。とん、としてぱたん。です。

 これらは、朝の端っこが、少し日焼けしていたあの週末から始まっていました。

 わたし自身の目を盗み、増えたページを入れ替えたとて、数をごまかすことはできません。厚くなったページの、せめて角を揃えましょうか。そうやってとん、として、それから扉のような表紙を、ぱたん、として。

 何度でもとん、としてぱたん。

 そうしてもう一度とん、としてぱたん。

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