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四角い月面ピクニック

by 郷木 鳥夢

 四角い月が、出ているわけではないのです。とはいえ部屋の絨毯へ、真四角な月面が降りて来たものですから、私たちはその四角い月面の中へ座って、それからコップの中のサイダーが、月光色を含んでどこか薄荷風なことに気づいたりしながら、月旅行を楽しんでおりました。

 開け放った窓から流れ込んでくる夜風は、澄んだ真水のようでした。夏の晩。私たちは青白い夏のプールの底で、降りて来た四角い月面に座っていたのです。

 時々口をつけるたびに、コップの中身は押し退けられて、ひと口分の空気が増えていくようです。

「月面ピクニック」

 そういいながら、あなたは絨毯の上に落ちた四角い月面へ仰向けになって、背中をぴったりつけました。

 月を背負ったその姿を横目に、私はまたコップに口をつけてひと口飲み、中にひと口分の空気が増えるのを楽しんでいました。

 こっちに月面を盗ってしまったから、向こうの月は、きっとこちらを映している鏡だね。

 それから肩口の、うすく発光しているような色の肌の色を見て、うんきっとあちらが今は反射光に違いないよ。

 ないよ。そう、ないよ。

 そう言いながら、透明なコップの中に空気がまたひと口、増えていくのをみていました。

 今晩は周辺の音もとても少なくて。窓の向こうにあるのは、月の姿をした鏡。あれはこちらを映している鏡。あの鏡には、私たちのところどころが、映っているところです。

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